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オーガニックワインとは - 田村 安

オーガニックとは、環境を守るというエコと、健康な生活を守るという人間としてのエゴを両立させ、持続可能な社会を目指すライフスタイルです。そのため環境にも健康にも害を及ぼす農薬や除草剤、化学肥料などを用いずに行うのがオーガニック農業、そうして作られたオーガニックぶどうを原料に醸造されるのがオーガニックワインです。化学農業と違って、仕様書に従って肥料や農薬を撒くのではなく、土壌と生態系をしっかり築き、注意深く自分で判断して世話をしなければならず、感性と経験がなくてはよいぶどうは作れません。もちろん労働も!

オーガニックという言葉には「本質的な」という意味があり、昔からオーガニックを実践してきた小規模なオーガニックワイン生産農家では、自家畑で収穫したぶどうを伝統を守り、遺伝子操作を用いず、香料や調味料などの化学物質を用いずに自分で醸造してきました。そのため良くも悪くも性格のはっきりしたワインに仕上がります。工業的生産と異なり、経験と観察と神経をすり減らすきびしい作業が必須で、誰にでもできることではありません。

本来、ワイン造りでは酵母をビン詰めの際に殺菌することはありません。ビンの中でも生き残った酵母が不思議な働きをして、独特の熟成が行われます。何年も経たワインが新酒からは想像もできないような素晴らしい味や香りや口当たりを持つようになるのはこのためです。しかし糖分が残っており、酵母が活性化すると発酵が再発し炭酸ガスを発生して、ビンが破裂します。これを防ぐために硫黄を燃やした二酸化硫黄(SO²)を吹き込み、酵母を殺さずに、しかし活性化させないようにします。二酸化硫黄は危険物質ですが揮発性があるので、抜栓して空気に触れさせることでワイン中から抜けて、ほとんど体に取り入れずに済みます。一度抜栓したワインは酸化するとともにどんどん変化して、おいしさが無くなってしまうのはこの揮発性のためです。しかし伝統的なこの方法には、生産性が低くコストがかさむというだけでなく、20℃を超すと酵母が活性化してしまい、又10℃未満では酵母が傷つくため温度管理が必要という欠点があります。温度管理はコストがかかり神経を使い、流通から敬遠されるため、メタカリと呼ばれる化学物質をワインに加え、ワイン中で化学反応を起こして二酸化硫黄(亜硫酸塩)を合成する方法が取られるようになりました。分子レベルで合成物質が混ざり、安定性がよく温度管理が不要になり、ワインが広く流通することとなりましたが、抜栓後もワイン中に残留する亜硫酸塩のため、中毒症状が起き易く、頭痛や喉痛、胃のむかつきなどの原因となります。

PROFILE
田村 安 (たむら やすし)
マヴィ(株)代表取締役
NPOヨーロッパオーガニック協会(EUOFA)代表理事
オーガニックフェスタ実行委員会代表
フランス政府農事功労賞シュバリエ受勲

1958年京都生まれ。1998年にオーガニックワイン専門インポーターのマヴィ㈱設立。2000年にヨーロッパオーガニック協会を設立。著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード日本書部 門2004年ベストワインブック賞受賞。

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