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有機認証の品質と効率 - 作吉 むつ美

この原稿は香港滞在中に書いている。知らない人のほうが多いだろうが、香港やシンガポールにも農地はある。決して多くはないが、その一部は有機栽培に取り組み、地元で注目されているのだ。香港にはまだ公的な有機認証基準がないため、民間の認定機関が自分たちの基準で有機認定している。彼らの検査員育成のために、今回で3度目になる講習を行ったところだ。滞在中、現役検査員と交流する機会があったのだが、いずこも検査員がもつ悩みは共通で、相棒のコスタリカからきた講師と苦笑いをした。

香港の認定機関では、現在農場の認定を中心に展開してきている。しかし、もともと農家の数や規模が小さいため、認定件数は限られている。となれば、検査員も他の仕事をするあいまに、月に1度か、あるいは年に10回ほどの検査しかすることができない。日程の調整がギリギリで、なかなかスキルを伸ばすことができないのである。ではなぜこれ以上の検査員が必要なのか?認定機関としては、講習会を開催することが普及につながるために実施しているが、一方では専任で検査をやってくれる人材を求めているからだ。他の仕事をしながら週末の検査をするというと、日程調整に限界があるのである。でも専任者がでてくれば、現在検査を行っている人たちは、ますます現場経験を得るチャンスを失うことになる。検査に必要なスキルは経験から得るものだけではないが、経験が大切なことはいうまでもない。そしてこれは日本の認証の現場でも、共通する問題である。

農林水産省が発表した年のデータによれば、日本国内での認定された事業者の件数は、3,485件。外国の事業者をすべて日本の認定機関(現在69認定機関が登録)が認定したと乱暴に仮定してみても、一機関での件数は平均すると58件という計算になる。実際には、数社が300~400件程度、推定で十社程度が80~150件程度の事業者を認定している。40件以下の認定機関の数はかなり多い。もちろん、認定事業者数の数が少なくても、一事業者が大きなグループ(例:生産農家数30戸以上)ということもあるため、単純に数で認定事業を評価することはできない。しかし、40件以下では、事業としての成立が困難であろうことは容易に推測できる。検査員と同様、その技量も問われるわけだが、この数では公開されている認定手数料から計算すると、事業として成り立ちそうにない。実態は、ボランティア的報酬による支えや、他事業による収入などでなんとか続けているというところが多い。

表1でみるように、世界各地で有機認証は発展しているが、日本はそのなかでも認定機関数が多い国だ。だからといって、際立って認定件数が多いというわけではない。私の知る大手認定機関では、他のプログラムの認定もあわせれば、千件単位で事業展開している例が多い。重ねていうが、そうした認定機関が必ずしも質の高い認定を行っているという意味ではない。しかし、効率的、効果的な認定を行うために、組織力・経済力を使って、システムの確立や人材育成に投資できているところがあるといえる。

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PROFILE
作吉むつ美(さくよし むつみ)

オーガニック検査員。 1993年、 IOIA(International Organic Inspectors Association)の検査員研修を受けたのち、日本・アジアを中心に検査活動を開始。1997年、日本オーガニック検査員協会設立。検査活動の傍ら、検査員育成、事業者向け研修などにも力をいれて活動。近年は、アジア各国での検査員研修での講師活動も始める。日本オーガニック検査員協会参与。JOIA/IOIA公認講師。


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