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有機認証の品質と効率 - 作吉 むつ美

話しを日本にもどそう。昨今の日本の社会倫理では「コンプライアンス」がもっとも重要な鍵であるかにみえる。しかしこれは有機に限ったことではない。食品だけをとっても、産地偽装をはじめどれだけの"おじぎ"を記者会見でみているだろうか。

昨年、このコラムに食品の有機業界は元気がないと記した。その印象は今でも変わらない。むしろ萎縮しているといったほうがいいかもしれない。次々と増える参照すべき法令やチェック項目。生産者はそれらを忠実に守っても別に売り上げがあがるわけではない。認証に携わる者も、検査や認定をもらさずにやったところで、報酬や社会評価があがるわけではない。私たちは普通の人間である。これではいっこうにモチベーションはあがらないではないか。

でも私たちの多くは、几帳面でまじめである。いったん、"コンプライアンス"と叫べば、みな右に習えといわんばかりに、仕事を増やしていく。行政のだれそれがこう発言した、といって明確に表現されていないことまでが、ルールに発展してしまうことすらある。それゆえに、海外の事業者や認定機関からみれば、日本の有機JAS認証システムは、かなりわかりにくく、複雑なものになってしまいがちだ。しかしそれは、生産そのものの基準が厳しいという意味ではない。システムがわかりにくいのだ。

これは言葉の問題ではない。日本で事業者向けに講習を日本語で行っても、わからないのだ。結局、理解不足が記録不足にならないよう、認定機関はたくさんのフォーマットを用意し、それに書き込むようすすめる。結果、書類作成の苦手な生産者たちは、有機から遠ざかっている。リスク評価を十分に行っていないので、リスクの高いものも少ないものもともすれば一律に扱われがちである。ゆえに、認定をうけていても、書類が面倒だからとか、何か事故があったら困るからと、有機JASマークをつけずに販売される。その数がいったいどれだけあるかは統計値はないが、残念な話しである。これがほんとうに消費者が望む認定だろうか?

有機農業は、消費側の理解や支援がなくては、大きな発展は望めない。しかし、有機だからといって、どんな品質でもよいという時代はとうの昔に過ぎ去った。単純に一般の野菜と比べる必要はないが、味、品質が伴わなければ、消費者は手にとってくれない。加えて、有機認証そのものが信頼を勝ち得なければ、有機のこれ以上の発展は望めないだろう。

しかし、それはもっとシンプルなものでいいのではないか。どうやって効率よく、効果的に有機認定を信頼あるものにすることができるか。ここには知恵と工夫が必要だ。

統計では、有機JASマークをつけて流通している食品は、0.17%だという。私はもっと自分自身が、手軽に有機食品を利用したいと思っている。自身の経験を活かして、何ができるか、考えている。

PROFILE
作吉むつ美(さくよし むつみ)

オーガニック検査員。 1993年、 IOIA(International Organic Inspectors Association)の検査員研修を受けたのち、日本・アジアを中心に検査活動を開始。1997年、日本オーガニック検査員協会設立。検査活動の傍ら、検査員育成、事業者向け研修などにも力をいれて活動。近年は、アジア各国での検査員研修での講師活動も始める。日本オーガニック検査員協会参与。JOIA/IOIA公認講師。


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