事業領域・コンセプトの策定で、誰をターゲットとするかということは非常に重要なポイントです。例えば、「地球上の生物」をターゲットとするのか、「日本に住む人」にするのか、「東京都に住む女性」にするのか、「東京都港区に住む30代の金融機関に勤める料理が趣味の独身女性」とでは、ターゲット数の大きさや具体性という話では大違いで、活動効率も違ってきます。そして重要なことは、「より具体的なターゲット像を作る」ことです。つまりどういう人か、年齢、性別、住所、職業、収入、好きなブランド、よく読む雑誌、よく行く店、趣味等とことん具体的なプロフィールをイメージすることです。そうすると、製品やサービスを売る場所、伝える場所等の決定等、その後の戦略が容易に具体的に立てられます。逆にはっきりしていないと、どのお店で売るべきか分からない、どの媒体で宣伝すべきか分からない、全て空振りの状態になってしまいます。
さて、簡単に実践で使えるターゲット設定上の参考データの一つに雑誌の発行部数があります。雑誌は同じ趣味や趣向の人が買うもので、購入者は共通の目的や価値観を持っている集団といえます。発行部数の把握は書籍「広報・マスコミハンドブックPR手帳・アーク出版」などを活用するとよいでしょう。発行部数は実売数とは違いますが、集団の大小を大まかに把握でき参考になります。
事業領域・コンセプトは、「ターゲット、ニーズ、独自能力」といった軸で組み立てます。そしてターゲットもそうですが、「ニーズや独自能力もより具体的に」です。独自能力についてはよく考え、他社では絶対に出来ないような製品やサービス、またその提供の方法を洗い出します。自分だけが出来る組み合わせを見つけ出し、勝てる個性を具体的に強調していきます。人にそれぞれ個性があるように、世界に一つの強い個性を持った製品に仕立て上げることが出来ます。そして最終的に一文にまとめます。「?をターゲットに、?のニーズに対して、?を?で提供する」という感じです。この事業領域・コンセプトのまとめがうまく出来ると、お客さまをはじめ社内外の関係者、その他多くの人に「なるほど」と納得してもらえ、話は早く進み期待されることになります。
いくら良い製品でも、便利に買えるところで売っていないと買ってもらえません。日本市場の販売チャネルとしては、小売店販売、通信販売、業務用販売など多様な流通経路がありますが、今回はメーカーや輸入代理店が小売店舗を通じて販売するという設定で、いくつかのポイントを挙げていきます。
小売店チャネルの探し方は、書籍「日経MJトレンド情報源-マーケティング・ハンドブック・日本経済新聞出版社」(小売業や卸売業の情報が細かく掲載されている)、「競合他社製品のホームページの取り扱い店舗リスト」等を活用します。小売店へのアプローチ方法は、売り込みのためのDM(手紙)を自分で作り送付し返答に答えるという方法が効率的です。DM内容は、この事業に対する自らの想いやメッセージ、「ターゲット、ニーズ、独自能力」の軸でまとめた事業領域・コンセプトの説明がシンプルに表現されているコピー、写真や連絡先等が記載されているものです。他のDMの中でぱっと目立つ体裁と見た人が興味を持ち乗らなきゃ損だと思える内容にブラッシュアップすることが大切です。それをアプローチしたい店舗やバイヤー等にメール、FAX、郵便等を使い送ります。返答が来たところに会いに行き説明、そしてお話を伺います。返答なければ、DM内容の再検討から繰り返します。どうしても扱っていただきたいお店等には、初めから直接お願いしに行くことも有効です。次に、小売店の間に卸機能が必要となる場合の卸売業者の探し方ですが、自分で探さず小売店のバイヤーに、どこの卸売業者がよいか聞く方法もあります。もし、メーカーや輸入元である場合、自分が国内卸売業者に扱ってくださいとお願いするよりも、卸売業者のお客さまである小売店バイヤーから紹介してもらう方が良いことが多いです。そして卸売業者や小売店が満足する建値設定も忘れずに行います。流通の多段階性は日本市場の特異性でもありますが、流通パートナーの利益も考えたチャネルの組み立ては慎重に行う必要があります。
また、小売店選択順位の留意点ですが、「置いてもらうのに難しいお店、影響力のあるお店から順番に置いてもらう」ことが大切です。特にファッション製品などの高付加価値製品にいえることですが、あの店に選ばれたという信用も得られ、同じ製品でもメディア等で取り上げられ方が変わり、イメージも向上、宣伝にもなり注目され、結局扱ってもらえる店舗数は増える良い結果となります。くれぐれも逆はないので注意が必要です。安易さや目先の売上に流されず、難しいところから製品配下をすることが重要です。

PROFILE
手島大輔(てしまだいすけ)
トーマツコンサルティング(株)等の勤務を経て、ベンチャー企業にて自然化粧品ブランド「アグロナチュラ」の立ち上げを行う。ゼロベースからの市場調査、商品開発、デザインディレクション、チャネル構築、プロモーションミックスを行い、発売後9ヶ月にて市場価格で約10億円の規模とする。現在独立し、国内外においてナチュラル製品に関わるビジネスサポート・コンサルティング、および障がい者の雇用とビジネスの融合を精力的に行っている。
明治大学法学部卒 中小企業診断士
共著書「マーケティング戦略ハンドブッック」PHP研究所
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